お借りしてスキャンした、1918年/1919年号・駒場ばら園発行のパンフレットを紹介します。
この頃世は大正、ちょうど世界のアートシーンはアールデコの時代でもあった。そんな雰囲気を使える表紙のビジュアルが美しい。
興味深いことは、まだ電話さえ少なかったこのころですが(全国の電話加入者数が10万)これが通信販売を前提としたバラのカタログであることです。注文方法や代金郵便局振込方法が記載されています。
表紙と前書きを掲載致します。
我邦文明の進歩に伴ひ其流行及趣味も亦優雅に趣き殊に
社交及家庭の娯樂並に教育用として花卉園藝に對する嗜好
も益々發展するに至れり歐米諸國に於て花物中の王と
稱せらるは薔薇花にして花容の艶麗なるご芳香の馥郁たる
且つ開花殆ど四季に亘り優美高尚の氣品を有し寒暖各地
に於いても其栽培用意なるは愛花諸彦の善く知る處なり
従て愛好家益々多く今や各庭園到る所此花を見ざるはなきの
盛況を呈せり又年々新種の育成せらるゝものその數少なからず
弊園に於ても將来益々新種の紹介に勉めんとす
謹んで愛培諸君の同崝と御觀賞あらん事を希ふ
<読みと語意>
我邦(我が国)文明の進歩に伴ひ(ともない)其(その)流行及趣味も亦(また)優雅に趣き殊(こと)に社交及家庭の娯樂並に教育用として花卉園藝(花弁園芸、花を主体とした園芸)に對する(対する)嗜好も益々發展するに至れり
歐米諸國に於て花物中の王と稱せらるは薔薇花にして花容(花の容姿)の艶麗(えんれい、艶やかで美しい)なるご芳香の馥郁(馥郁、良い香りがただよう)たる、且つ開花殆ど四季に亘り優美高尚の氣品を有し寒暖各地に於いても其栽培用意なるは愛花諸彦(しょげん?、紳士各位)の善く(よく)知る處(ところ)なり
従て愛好家益々多く今や各庭園到る所此花を見ざるはなきの盛況を呈せり又年々新種の育成せらるゝものその數(数=かず)少なからず
弊園に於ても將来益々新種の紹介に勉めんとす謹んで愛培諸君の同崝と御觀賞あらん事を希ふ(ねがう)
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